相続税の申告・納付

1.相続税の申告義務と申告手順

お亡くなりになった方(被相続人)の遺産総額が、相続税の基礎控除額を超える場合に、相続税の申告義務が発生します。

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遺産総額の算定は、次のような段取りで進めます。

1)遺産の洗出し

金融資産であれば預金通帳や金融機関からの連絡文書、不動産であれば固定資産税納付書や権利書、遺言があれば遺言書、同居していた家族からの情報などのように、被相続人の身辺にある資料・情報を手掛かりに、被相続人の遺産を洗い出すことから始めます。

預金通帳については現在使用しているものだけではなく、過去の通帳のお金の動きを調べることも必要です。過去のお金の動きから、生命保険料の支払に基づく権利(家族が被保険者)という新たな遺産が見つかったり、以下の(5)に記述する「相続税の課税対象となる生前贈与」が判明することも多々あります。

 また被相続人の身辺にある資料を手掛かりに、遺産総額を計算する上で控除(マイナス計算)できる債務(支払義務:例えば借入金や未払金など)も調査しなければなりません。

(2)家族名義の預金など「名義財産」

家族名義の預金など、被相続人の過去の所得が蓄積して形成されたと認められ、その家族に対する贈与があったことを明確に立証できない財産については、被相続人の遺産として申告する必要性を検討しなければなりません。

相続税調査において頻繁に問題になるのが、この「名義財産」であり、国税当局から申告漏れ遺産と指摘されることが多いので、慎重に検討する必要があります。もし、相続人固有の財産、あるいは被相続人から贈与により取得したと主張するためには、これらの事実を客観的に裏付ける証拠を準備する必要があります。

(3)遺産の評価

 国税当局は、課税上の遺産評価が公正に行われるよう「財産評価基本通達」を公表していますので、遺産の種類毎に、この通達に則った方式により(1)と(2)の遺産を金額価値に換算する作業(評価)を行います。

(4)評価上の特例

?小規模宅地等の評価減額特例

 被相続人が居住していた宅地(最大330?まで)または事業に使っていた宅地(最大400?まで)については、相続税申告書を提出することを条件に、最大80%評価額を減額できる特例がありますので、この適用可能性を検討します。

 この特例を使うことで、遺産総額が基礎控除額以下になったとしても、相続税の申告書を提出することが、この特例適用条件ですので、相続税の申告を忘れずに行う必要があります。

?生命保険金と死亡退職金の非課税金額の除外

 被相続人の死亡により支給された生命保険金(被相続人が保険料負担者であるもの)と死亡退職金は、それぞれ、500万円に法定相続人の数を掛けた金額までは、相続税が非課税となります。その非課税枠を超えた金額があれば、それを遺産総額に集計します。

 被相続人が企業経営者であって、被相続人が保有するその企業の株式の評価額が高い場合には、その企業から相続人に対し、非課税枠を活用した死亡退職金を支給するという事後的な節税法があります。非課税枠内の死亡退職金には相続税が課税されないのですが、死亡退職金という資金流出でその企業の株式評価額が下がるからです。

(5)相続税の課税対象となる生前贈与

?相続時精算課税制度による贈与財産

 被相続人からの贈与について、一定の贈与税を仮払いし、被相続人の相続が開始した時にその贈与財産を遺産の中に取込んで相続税を課税する制度(相続時精算課税制度)に基づき取得した贈与財産があれば、忘れずに遺産総額に加算しなければなりません。

?相続開始前3年以内の贈与財産

 ?の贈与以外に、相続人が相続開始前3年以内に被相続人からの贈与により取得した財産は、遺産の中に取込んで相続税課税することになっていますので、こちらも忘れずに遺産総額に加算しなければなりません。

(6)遺産の取得者(債務の負担者)の決定

?遺言がある場合

 遺言がある場合には、遺言の内容に従って、相続人など(相続人でない場合もあります)が遺産を取得し、債務を負担することになります。

?遺産分割協議

 遺言がない場合(遺言がある場合でも、遺言の対象となっていない遺産がある場合も含みます)には、相続人が話合いにより、誰がどの遺産を取得するのか、債務は誰が負担するのかを協議して決定します。

(7)相続税申告書の作成(未分割財産がある場合も含む)

(1)から(6)までの過程を経て初めて、相続税の申告書が作成可能となります。相続税の申告期限までに遺産の全部について取得者(負担者)が確定しないこともありますが、その場合には、各相続人が未分割財産を相続分に応じて取得したものとして、遺産や相続税額を計算しなければなりません。

従って、未分割の遺産がある場合には、取得する遺産が確定しないのに、相続税の納付義務が発生してしまいます。必要な手順を早めに進め、申告期限まで分割を確定させることが望まれます。

(8)相続税申告書の添付書類

相続税申告書には、親族関係を証明する書類や遺産の存在・評価額・取得者を説明できる書類を準備する必要があります。必要書類の種類は非常に多く、期限内に申告・納付を済ませるためには、早めの準備が重要になります。

2.配偶者の相続税額軽減特例について

配偶者に対する相続税については、遺産総額の法定相続分相当金額(その金額が1億6,000万円に満たない場合は1億6,000万円)までの取得遺産に対応する相続税額が軽減されます。

この特例の対象となるのは、相続税の申告期限までに、配偶者が取得することが確定した財産に限られます。従って、相続税の申告期限までに遺産分割協議が成立していない未分割財産に対する配偶者の権利部分については、軽減対象財産となりません。未分割財産のうち、相続税の申告期限から3年以内に配偶者が取得したものは、遡ってこの特例を受け、相続税税額の減額を受けることができますが、一旦は申告期限までに未分割財産に対応する相続税を納めることになります。

従って、申告期限までに遺産分割協議が成立するよう、早め早めに申告手順に従った準備を進めることが重要です。

なお、この特例は、相続税申告書を提出することが条件となりますので、この特例により相続税額がゼロになる場合(遺産の全ての配偶者が取得する場合など)でも申告が必要になりますので、注意が必要です。

 

3.相続税の申告について

申告納税方式

相続税は「申告納税方式」の税ですので、申告義務を負う人自らが、 相続税法や財産評価基本通達に従って遺産や相続税額を計算して申告しなければいけません。

申告書の提出先

相続税申告書の提出先は被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署になります。 相続人の住所地の所轄税務署ではありませんので、注意しましょう。

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4.相続税の納付について

原則現金一括納付

相続税は原則として納付期限までに、全額を現金で納めなければなりません。

相続税の納付方法

納付書により最寄の金融機関などの窓口で納めるのが通常です。

注意事項

仮に期限までに申告したとしても、期限までに納付しないと延滞税(※)が課される場合がありますので、忘れずに納付しましょう。

※延滞税の割合は平成27年中は年9.1%(当初2ヶ月間は年2.8%)。

 

5.期限内に相続税を完納できない場合

相続で取得した遺産の多くが不動産であるような場合、一括納付が困難なときもあります。そんなときに、活用できるのが延納制度や物納制度です。

>>?延納と物納に関し、詳しくはこちら

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